突然、腹痛と激しい吐き気、不安感を訴えて・・・会話が成立しなかった事が有った。
具合を見ても・・・別段、何処か悪い訳でもなく、只、原因不明の恐怖と強い嘔気。
将来に対する言い知れぬ不安感やトラウマで、恐怖の連鎖からだろう。
「大丈夫ですよ。一寸治療してみましょう・・・。」
「ゲーゲー・・ゲーゲーゲー・・・ア~~! !」
ゲーゲーと治療をする事も出来ず、話も耳に入らない様子。
特に悪い訳でもなく、治療が出来ない状態で・・・・
困りはしたが、緊張感の無くなった私は、ふと・・あえて、放屁をした・・ブゥゥー
一瞬、患者の目に怪訝そうな光と、一瞬“ゲ~ゲ~” 音が止まるのを見た。
続いてもう1~2回大きな音で放屁・・・・“まさか”の意外性に驚いた患者は笑いだした。
「アア!!・・やっと止まりましたね。」
「??・・・?」
「ほら、気持ちの悪さは減ったでしょう。」
「あ!!・本当だ・・大分楽に成った。」
吐き気が治まり掛かり、安心したのか・・笑ってる。
「恐怖も減ってるでしょう。」
「大分減っています。」
元々、何の根拠も無い不安感と嘔気・・・・。
気持ちが切り替われば、別に如何と言う事は無い。
「不可能な事を一杯、抱え込んで、心配すれば誰でも不安に為ります。」
「何があんなに不安に為ったんでしょうか・・解りません。」
「何年間も寝ていて、仕事も出来ず、将来の設計も無く、治療する体力も少ない。
誰だって不安が有って当たり前。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「では、その逆を遡れば良いでしょう。」
「?・・??」
「具合が悪く寝て居て、体力が落ちた・・・・なら、先ず体力を付けましょう。」
「はい」
「鍼治療で随分良くなりました、運動も少し出来るでしょう。」
「出来ます。」
「急がず、出来る事から1つずつ解決するしかないでしょう。」
「ハイ、もう急ぎません。先ず働ける体力を付けます。」
先が見えて、1歩づつ進む事が出来れば、不安感は減る。
急ぐ事は無い。2~3年など、人生にとっては1瞬だ。
どんなに辛い事でも、生きてさえ居れば・・・
“ああ!!良かった”と思える日は必ずやってくる。