
「Mさん如何でした。いくらか上手くいきましたか?」
「ハイ。数を数えたり、簡単な計算をしたり、その日の出来事を想い出したり・・・その間は、痛みが和らいでいました。」
さすが元教員・・・勉強から頭は離れないらしい。
「でも飽きてくると痛いです。」
「当然ですよ、誰だって勉強は嫌いです。それに脳は直ぐに飽きますから・・・Mさんは特に・・・」
まじめなのは良いが、堅苦しく考えすぎで、楽しくない。・・・・でも効果は有った様だ。
「集中できるのはせいぜい15分です。次々と脳を飽きさせない様に、色んな事をしなくちゃ。」
「思いつきません。」
真面目だな~・・・
「では他人の力を借りたり、・・・例えば落語を聞いたり、本を読み、人と話をして、積極的に社会と関っていくようにしましょう。自分だけでは行動パターンが同じになり飽きます。」
「えっ、ダメですか?」
「自分の考えることは同じパターンですよ。だからこんな病気に成ってしまう。」
「そうですか・・・」
「本人の自由にしてもらうと同じ行動しかしない。だから逆に時間を決めてその中で動いてもらう。・・それが出来ないから定年後の教員は一様に病気になって亡くなるでしょう。」
「そうです。もっと探します・・・。」
いくらか理解できたのか、それ以来Mさんは治療時間は、かなり短くなってきた。・・めでたし?
このようなメンタルな問題を含む症状では、急速に良くなることも期待できる。・・・しかし条件としては、本人の気付きが重要では無いだろうか。