
ここ2ヶ月ほど毎日来るHおばあさん“そんなに来なくて良いですよ”と何度言っても気にせず“どうにかなると大変だから”といって毎日来る
特別悪くも無いのに毎日では他の患者の治療が出来ない・・・少し強めに再度言った言葉が“見放された”と感じたのだろうか・・ある朝治療室に来ていた患者Kさんからの電話
「先生おばあさんが苦しがってゲーゲーと吐いています直ぐ来てください」
行ってみると例のHお婆ちゃん
「先生、気持ちが悪いし目が回って動けんゲーゲー・ゲー脳梗塞やろげ」
「違いますよ目が回ったり気持ちが悪いだけでは脳梗塞ではありません」
否定したのが癇に障ったのかいっそう激しくゲー・ゲーゲー・・助手がトイレに連れて行く
「先生はうそを言うとる・・こんなにひどいがに・・・救急車・救急車よんで」
なんとも無いのに救急車は呼べない・・めまいも吐き気もハリをすれば治るだろう
しかしその頃には、よほど恐怖を感じていたのか脱糞はするし、吐しゃ物まみれの上すごい匂いでとても治療になどならない
「着替えもしないといけませんし・・ではお母さんに来てもらって家から救急車で行きましょう」
娘さんの職場に電話をして来てもらう
直ぐ近くの家だが3人がかりで何とか運ぶ・・・救急車が到着し・・数日後・・・
「先日は、ご迷惑をおかけしましてすみません。色々検査しましたがどこも悪く無かったです」
当然と言えば当然なのだが人の心とは大変な魔物であることを感じた